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横領を未然に防ごう!被害に遭う前にやるべきこととは?

はじめに

認知件数が年間約1000件にも上る業務上横領罪。その件数はなかなか減らず、手口も年々巧妙化してきています。

また、その被害額は大きいものだと数十億円に上ることもあります。従業員による横領が直接の原因となって倒産してしまう会社があるというのも頷ける話です。

 

こういった犯罪は、事前に防げるならばそれに越したことはありません。

この記事では、業務上横領罪を防ぐためにできることなどについて説明していきます。

横領とは

横領と聞いてどのようなことを思い浮かべるでしょうか?会社のお金を使ってしまうこと、と答える人が多いでしょう。たしかに、概ねその回答で合っています。

しかし、会社のお金を勝手に使ってしまうという同じように見える行為でも、横領として罰される場合と窃盗として罰される場合とがあるのです。

ここでは、横領の概要と、横領した人が負うことになる刑事上の責任と民事上の責任について説明します。

 

「業務上の横領」とは?

業務上横領罪について定めた刑法253条には、「業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。」とあります。

簡単に言うと、仕事に関連して自分が管理している他人の財産を自分のために使った者は、業務上横領罪の罪責を負うのです(横領した本人が勤めている会社も、この「他人」に含まれます。)。

 

この「自分が管理している」というところがポイントで、管理していないものを使った場合は横領でなく従業員による「窃盗」に当たります。

 

典型的な横領の例は、日常的に会社のお金を引き出すことのできる立場にあった経理担当の従業員が、会社の口座からお金を引き出して自分の借金の返済に充ててしまう、といったものです。

 

一方、窃盗の例としては、営業担当の従業員が、経理担当の管理している引き出しからこっそり小口現金を盗って使う、といった行為が挙げられます。

 

 

業務上横領罪を犯した場合の刑事上の責任

先ほどの条文にもある通り、業務上横領の罪で告訴・起訴されて裁判で有罪判決が出た場合、10年以下の懲役に服することになります。

 

ただし、執行猶予がつくこともあります。

執行猶予がつく可能性があるのは、原則として、「言い渡された刑罰が懲役3年以下」、かつ、「以前に懲役・禁錮の判決を受けたことがない」場合です。

(それ以外の場合であっても執行猶予がつく可能性はあります。詳しくは刑法25条1項、同2項を参照してください。)

 

一方、先ほど出て来た窃盗罪の場合は、「十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」が課せられます(刑法235条)。

このように業務上横領と従業員による窃盗とでは、適用される刑法の条文や刑の重さといった点で異なってきます。

しかし、会社が行うべき防止策や事後の対応という面では共通する点が多いです。よって、以下ではこれらの犯罪をまとめて「横領」と呼ぶことにします。

 

 

民事上の責任

民法には横領について特別の規定があるわけではありません。

ただし、上記のような横領行為は民法上の不法行為に該当します(民法709条)。

 

そのため、横領してしまった従業員は会社に与えた損害を金銭の支払によって賠償する責任を負うことになるのです。

会社に与えた損害の中には、もちろん横領したお金の損失それ自体も含まれます。

そして、その金額に対して年5%の利息を付けて返さなければなりません(民法404条。ただし、就業規則等の特約で別の利息を定めている場合は別です。)。利息計算の起算日は不法行為を行った日、つまり横領してしまった日からです(最判昭和37年9月4日)。

さらに、横領によって会社が失ったその他の利益も賠償しなければならないこともあります。

 

 

社会的な責任

会社の財産を横領したことが明るみになると、多くの場合は会社から懲戒解雇されることになります。

また、「懲戒解雇」という扱いになってしまうと、再就職が困難になることもあります。

仮に解雇されなかったとしても、周囲から白い目で見られてしまうことは避け難いでしょう。

 

横領によって生じる悪影響

従業員や社長による業務上の横領は、会社の経営に深刻なダメージを与えるというのは「はじめに」で述べた通りです。しかし、悪影響はそれだけではありません。

 

横領が起こったことが世間に知れてしまうと、会社のイメージまでダウンしてしまう可能性があります。中には、そういったイメージダウンを避けるために横領の存在を表沙汰にせず、告訴しないで済ませてしまう会社もあるのです。

 

また、課税上の問題も生じます。横領を働いた従業員が、その事実を隠す目的で会社の帳簿を不正に書き換えたり、税務署に過少申告をしたりすることがあります。

このことが後から明るみになると、会社に対して重加算税の支払が命じられることもあるのです(国税通則法68条1項)。

 

さらに、横領の事実が社内に広まると、会社全体の雰囲気が悪くなってしまい、業務に悪影響を来します。これは従業員の少ない中小企業であれば尚更のことです。

横領を防ぐには

当たり前ですが、横領されて良いことなど一つもありません。

横領を事前に防ぐために、会社としてはどのような手段を講じればよいのでしょうか。

 

もちろん、横領をしないような遵法意識の高い従業員だけを集めることができればそれが一番です。

しかし、遵法意識をはじめ、人の意識は時と状況によって大きく変わってしまうものですし、そもそも採用時点で完全に人を見抜くことは不可能です。

そのため、横領ができないような仕組みづくりをしていくことが何より重要になってくるのです。

具体的には、以下の①〜④の仕組みを構築しておきましょう。

 

①横領をした場合に負うことになる責任を周知する

横領した場合には上記で説明したような刑事・民事・社会的責任を負う、と従業員全体に周知しておくことは、横領を防ぐ効果的な方法の一つです。

「会社のお金を使ったら何らかの責任を負うのだろうなあ」と漠然と感じている場合よりも、「最高で懲役10年」という具体的な責任の内容を把握している場合のほうが、横領の後に起こることがリアルに想像できるために自制心が働きやすくなります。

 

しかし、あからさまに横領をした場合のペナルティを伝達して回るのは、何もしていないのに従業員を疑っているようでやりにくいと思われます。

業務マニュアルに横領についての項目を入れておくなど、少し工夫しましょう。

 

また、金庫に現金を保管しているのであれば、その周辺を写す防犯カメラを設置しておくことも横領防止には有効な策です。

 

 

②出て行くお金の管理を徹底

何よりもまず、会社のお金がどこに使われたのかをしっかり把握することが横領防止への第一歩です。

そして、出金先の管理には出金伝票を使うのが簡単でかつ効果的です。

 

出金伝票は文房具店で購入することができます。最低限、日付と出費の内容、支払先、金額を記入しておけば困ることはありません。

 

そして、出金伝票は支払の後ではなく、支払の前に作成させるようにします。

必要経費の支払が必要になった場合は出金伝票を作成し、上司に提出し、それに上司が承認のサインをします。そのサインの入った出金伝票を経理担当者に持って行くと記載してある額を支払ってもらえる、といったような仕組みを構築するのです。

こうすると、支払までに少なくとも出金伝票の作成者、上司、経理担当者という3人が介入することになるので、不正な支払がやりづらくなります。

 

また、出金伝票に基づいて必要経費を支払ったら、領収書をもらって経理担当者に渡すように指示しておきましょう。

出金伝票は自由に記載可能なものですが、領収書は支払先が発行するものなので、より信用性が高いためです。

 

 

また、経理担当者が預金を一人で引き出せないようにしておくのも重要です。

通帳管理者と届出印管理者、インターネットバンキングの場合であればアプリ管理者とワンタイムパスコードの管理者を分けるようにすれば、一人で振込や引き出しがやりづらくなります。

 

これを出金伝票の仕組みと合わせると、支払までに4人以上が介入することになり、より一層不正な着服が困難になります。

 

 

また、小口現金に関しても、どこにいくら支払ったのかをきっちり把握するように努めましょう。

小口現金は担当者の引き出し等からすぐに取り出せて、その額も比較的小さいことから、着服への心理的ハードルも低くなりがちです。しかし、額が小さいとはいえ大事な会社のお金なので、これも出金の管理を徹底することで横領を防いでいきましょう。

具体的には、小口現金の支払にも上記の出金伝票を事前に提出する仕組みを作るといったことが挙げられます。

 

しかし、いちいち確認していては小口現金のメリットであるすぐ支払えるという特徴が活かせない、というのも一理ある主張です。

小口現金の支払に限っては、「支払を終えてから領収書・出金伝票を提出すればよい」といったように、少し適用を緩くしても良いかもしれません。

ただしその場合には、後述するように、毎日小口現金の残高を確認することを忘れないようにしてください。

 

 

③入って来たお金の管理を徹底

入って来たお金の額がわからなければ、いくら出て行ったお金を確認しても意味がありません。

 

これについても、受注や出荷を担当する従業員と、売上を計上する従業員を別にすることで正確な売上を把握するように努めましょう。

また、郵便物の開封や請求書の発行を売上計上担当者にやらせないようにすることも効果的です。これによって横領した後に証拠の隠滅ができなくなるからです。

 

また小売店の場合は、レジなどに入っている現金があると思いますが、これは毎日の終業後に必ず預金口座に入金させるようにしましょう。

このとき、売上高を確認する係と、入金する係とを分けて、上司が両者から別々に報告を受けるようにします。売上額と入金額が一致していれば、ひとまずは安心です。

 

 

③残っているお金の管理を徹底

出金伝票の内容・売上額と、預金通帳の履歴・現在残っている小口現金とを定期的に付き合わせて、齟齬がないか確認しましょう。これもできることなら毎日行っておきたいものです。

 

経理担当者が確認するのも良いですが、大事なのはできるだけ他の従業員がこの確認を行うということです。それも、できれば2人以上で確認作業を行ってもらいましょう。

 

④定期的に人事異動を行う

入金や出金の管理を複数人で行っても、共謀して横領を行われたら防ぐのは困難です。

そこで、定期的に人事異動を行い、共謀による横領がなされてもすぐにバレてしまうという状況を作り出しましょう。

横領は、バレるまで何度も繰り返されてしまう傾向のある犯罪です。その繰り返しを防ぎ、被害を最小限に抑えるという意味でも定期的な人事異動は効果的といえます。

 

⑤社内の交流を活発に行う

社内の雰囲気が良ければ、悪いことはやりづらくなるものです。従業員同士の交流を深めて、和気あいあいとして雰囲気を作り出すことで、他の人に迷惑がかかってしまうことはできないという気持ちを個々の従業員の中に醸成していきましょう。

 

 

いろいろと具体的な防止策を説明して来ましたが、以上のことを一言でまとめると、

「横領した場合のペナルティを周知し、お金の動きを複数人でこまめに確認する」

ということに尽きます。

 

お金の流れを複数人で把握していると、お金が足りないことがすぐにわかってしまうため横領を働こうという気持ちは起こりづらくなります。

また、仮に横領されても誰かがすぐに気がつくことができて、被害を最小限に抑えることもできるのです。

さらに付言すると、こまめに確認していれば、いざ訴訟になった場合に信用性の高い証拠が集まるため、損害賠償が認められる可能性も高くなります。

 

人数の少ない会社では、空気を悪くしたくないという思いからお金の管理について厳しいことを言わずに済ませてしまう経営者の方もいるかと思います。

しかし、面倒を避け、お互いに疑わなければならない状況を避けるためにも、日頃からお金の管理について徹底していく姿勢をみせましょう。

 

もし横領されてしまったら、どう対応する?

どんなに対策しても、横領を完全に防ぐことは困難です。

横領の被害に遭ってしまった場合に備えて、こちらのページを読んでおいてください。

まとめ

信頼して一緒に働いている従業員に会社のお金を横領されるなんて…そんなことは考えたくもない、という経営者の方もいることと思います。

しかし、実際に横領があってからでは遅いのです。従業員と会社と経営者、皆の利益のために、横領ができないような仕組み・空気づくりを始めましょう。

そして、横領された可能性があるなと考えている人は、被害拡大を防ぐためにもできるだけ早く弁護士に相談するようにしてください。

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