債権回収のことなら、横浜の弁護士坂本裕之法律事務所にお任せください。

お電話でのお問合せはこちら
045-211-4008
受付時間
9:00~17:00 
定休日
土曜・日曜・祝日

お気軽にお問い合わせください。

債権回収の基礎知識!
強制執行における差押え禁止財産と差押え禁止債権

はじめに

債権を回収する方法の中でも、強制執行は特に強力な方法です。督促や通常訴訟の判決を無視する債務者に対しても効果的です。

公権力の力で強制的に債権の回収をはかる強制執行は、債権の回収方法の中でも最終手段的な位置づけです。しかし、強制執行は強力な方法だからこそ、法律でルールが定められています。強制執行は法律の定めの範囲内で行うことになります。また、強制執行を申立てしても、空振りに終わることもあります。強制執行は強力な債権回収の方法ですが、絶対というわけではありません。

強制執行での債権の回収率を上げるためにも、差押え禁止財産や差押え禁止債権を把握しておくことは重要です。なぜなら、差押え禁止財産や差押え禁止債権に対して強制執行できると勘違いしてしまうと、回収率に大きな影響を及ぼすからです。強制執行をするかどうかは、債務者の経済状況が1つの判断基準になります。債務者が差押え禁止財産や差押え禁止債権のみ所持している状況だったらどうでしょう。債権者が差押え禁止財産や差押え禁止債権を債権の満足の当てにしていたらどうでしょう。強制執行をしても、債権者のマイナスになって終わりになる可能性があります。

 

債権回収と強制執行の基礎知識として、差押え禁止財産や差押え禁止債権について確認しておきましょう。強制執行で債権の回収をはかる場合に、知っておきたい知識です。

強制執行にはルールがある!手続きの流れと2つのルール

強制執行は公権力を使って債権の回収をはかるという強力な方法だからこそ、法律でしっかりとルールが定められています。金銭消費貸借契約を結んだからといって、即座に強制執行に繋がるわけではありません。売掛金が未払いだからと、すぐに強制執行が認められるわけではありません。

 

強制執行は強力な債権回収の方法であるからこそ、強制執行の後に「実は債権がありませんでした」「債権は強制執行の前に回収済みでした」などの事実が明るみになると、大変なことになります。債務者の私生活に大きな影響を与えます。債務者の信用にも傷がつくことも考えられます。公権力の労力と費用の問題もあります。売掛金の未払いや金銭消費貸借の締結によって誰でも簡単に強制執行ができてしまうと、世の中の混乱に繋がります。だからこそ、強制執行には、法律で厳格に定められたルールがあるのです。

 

強制執行で債権の回収をするために覚えておきたいルールは、主に2です。

 

1、 債務名義や執行文などの強制執行できる条件がそろっていること

2、差押え禁止財産と差押え禁止債権は強制執行の対象外

 

1、 債務名義や執行文などの強制執行できる条件がそろっていること
 

強制執行をするためには、第一に「債務名義」が必要になります。債務名義とは、債権の範囲や請求権の存在、債権者や債務者を記載してある公文書のことです。金銭消費貸借契約を結んでいても、私的な契約書や出金した通帳などは債務名義にはなりません。債務名義は公文書に限られます。私文書は簡単に作成できてしまうからです。

 

債務名義になり得る公文書は、民事執行法22条に定められています。代表的な債務名義は、確定判決や調停調書、和解調書、仮執行宣言付判決、仮執行宣言付支払督促などです。債務名義を取得していない場合は、通常訴訟や調停などで債務名義を取得することになります。

 

この他に、抵当権や根抵当権を設定していた場合や先取特権を証明した場合は、強制執行をすることが可能です。

また、執行受諾文言(債務者が強制執行に服する旨の記載)がある公正証書(執行証書)があれば、通常訴訟などで確定判決を得なくても即座に強制執行ができます。 

強制執行をするための第二の条件として、「執行文」を付与してもらう必要があります。執行文とは、強制執行ができることの証明書のことです。仮執行宣言付支払督促正本などは、執行文の付与が必要ありません確定判決や調停調書などは、執行文の付与が必要になります。

債務名義によって執行文の要不要が異なるため、注意が必要です。 

強制執行では、まずは債務名義を取得する。執行文の付与が必要な場合は、執行文を付与してもらう。財産に応じた方法で差押えの手続きを行い、競売などによる換金をする。そして、最終的に債権を回収するという流れが基本になります。

 

2、差押え禁止財産と差押え禁止債権は強制執行の対象外

 

債務名義の用意があっても、強制執行での債権回収が難しいケースがあります。たとえば、債務者の財産がゼロだとします。口座には預金もなく、債務者名義の不動産も存在していません。勤めに出ていないため、給与もありませんでした。あるいは、預金や給与はあるけれど、回収すべき債権よりもかなり額が少なく、強制執行をしても手続き費用でマイナスになってしまう可能性が高いと考えられました。このようなケースでは、強制執行をするメリットがありません。「費用倒れの可能性が高いため、強制執行が適さない」ケースです。

 

強制執行をされる債務者は、債権者以外からもお金を借りている場合があります。債権者以外にも未払いが続いていることも珍しくありません。他の人からもお金を借りたり、他者への売掛金の未払い状態が続いていたりと、資金繰りや財産状況が悪いことが考えられます。財産のない債務者に強制執行をしても、持っていないものから債権の回収をはかることはできません。

 

債務者に財産と呼べるものがあっても、その財産に差押え禁止財産に該当するものが多いと、強制執行による債権の回収は難しくなります
禁止されている財産からの債権回収は基本的にできないからです。強制執行したからといって債務者の全ての財産を差押えて債権の回収に充てることができない点に、強制執行の難しさがあります。

差押え禁止財産と差押え禁止債権とは

差押え禁止財産」とは、差押えをすることにより生活や仕事に大きな影響を及ぼすことが考えられるために、差押えが禁止されている財産のことです。また、差押えや強制執行に馴染まない財産(位牌や祭祀に欠かすことのできないものなど)も差押えすることができません。これらの財産をまとめて「差押え禁止財産」といいます。

 

差押え禁止債権」とは、差押えが禁止されている債権のことです。債権に対しての差押えの中でよく使われるのは、給与債権に対する差押えです。給与自体への差押えは可能ですが、給与の全てを差押えてしまうと、債務者が生活するためのお金がなくなってしまいます。「差押えそのものが禁止されている債権」と「差押えはできるが、一定範囲までしか差押えできない債権」があります。

 

具体的にどんな財産が差押え禁止財産や差押え禁止債権にあたるのでしょうか。

・「差押え禁止財産 

差押え禁止財産に該当する財産は、民事執行法131以下に定められています。具体的には次のような財産が差押え禁止財産にあたります。

 

①  仕事や家業のために必要な道具

 

農業に使う農具や肥料、種子、家畜など。漁業や養殖に使う漁具など。職人や技術者が仕事をする上で欠くことのできない道具などは差押え禁止財産になります。

 

仕事や家業のために必要な道具も財産の1つに含まれます。しかし、仕事や家業のために必要な道具を差押えてしまっては、お金を稼ぐことが難しくなってしまいます。債務者がお金を稼ぐことができないという事態は、債権の回収を考えた上でも望ましいことではありません。また、お金を稼ぐことができないと、債務者の生活のみならず生命まで脅かされる可能性があります。お金を稼ぐための重要な手段である「仕事」や「家業」の道具は、差押えが禁止されています。

 

②  生活のために必要なもの

 

命を繋ぐために欠かすことのできない食料や燃料、生活費、台所用品や寝具、衣類は差押え禁止財産に該当します。
 

※債務者の家にある全てのお金や生活用品が差押え禁止財産になるわけではありません。

 

食料や燃料は1カ月分、生活費は2カ月分(66万円が差押え禁止になります。この他に、学習に必要な書類や器具、実印、債務者に必要な義手や義足、日記や系譜、商業の帳簿類は差押えが禁止されています。

 

③  その他

 

仏像位牌、祭祀に直接供するものは差押えが禁止されています。親族が受けた勲章などの名誉を表すものや、未発表の発明や著作避難器具災害の防止や保安のため法令で設置が定められた機械や器具は差押えが禁止されています。

 

・「差押え禁止債権 

差押え禁止債権は、民事執行法152条に定められています。年金の受給権や生活保護費などは差押えが禁止されています。

給与や退職金については基本的に3/4が差押え禁止になります。給与や年金、生活保護費は受け取る側の生活を支える大切なお金です。差押えの結果、生活のためのお金がゼロになってしまい、命が危ぶまれる状況になることも考えられます。生活に直結する債権に関しては、差押え自体が禁止されるか、差押えが制限されることになります。

 

ただし、扶養義務に関する定期金債権(養育費など)の場合は、給与や退職金の1/2までが差押え可能になります。養育費などは子供の生活と命に係わる重要なお金です。子供の生活にも配慮し、給与を受け取る側への生活にも配慮した結果が1/2となっています。

債権の回収率を高めるための4つの対策

強制執行をしようとしたら財産がなかった。差押え禁止財産や差押え禁止債権ばかりで、債権の満足に繋がらなかった。いざという時に困らないよう、事前の対策について考えてみましょう債権の回収率を高めるために、事前にできる対策をしておくことも重要です。

 

①  情報の確認やリーガルチェックによる対策

 

法人の場合、取引を開始する前に取引相手の財産状況を冷静に判断することが必要になります。取引を開始する法人の財産状況について不安な情報はなかったか、売掛金の支払いはきちんとしているかを、評判や噂を参考に見極めることも重要です。個人間の貸し借りについても同じことがいえます。個人のお金の使い方や収入状況について噂を耳にしていたら、お金を貸す前に冷静になってよく考えてみてください。

 

財産状況や返済について不安視するような状況があれば、取引を見合わせることも方法の1つです。債権が発生しなければ、取り立てる必要はありません。経済状況が順風満帆で、支払いについてもしっかりとした取引相手であれば、強制執行の必要性は限りなく低いことでしょう。契約に際して、弁護士や中小企業診断士などへ相談することも対策になります

 

作成した契約書類は弁護士などにリーガルチェックしてもらったり、公正証書を活用したりすることで、債権を回収しなければならない事態に陥った時はスムーズに回収を進めることもできます。

 

②  財産開示手続の利用による対策

 

債務名義を有している債権者や一般の先取特権を有している債権者は、裁判所で財産開示手続の申立てができます。債務者の「財産はどこにあるか」「どんな財産があるか」などの情報を開示するための手続きです。財産開示手続をすることで強制執行などの権利実現の実効性を把握することができるというメリットがあります。

 

ただし、債務名義を取得していないなどの状況では使うことができないというデメリットや、債務者に財産がなければ申立ての手間や費用が無駄になるといったデメリットがあります。また、債務者が出頭しないことも考えられます。使いどころの難しい手続きですが、上手く使うことによって強制執行がよりスムーズに進む可能性や、強制執行の空振り対策になる可能性があります。

 

③  抵当権などの担保設定による対策

 

事前に債務者の不動産に抵当権などを設定しておくことで、すぐ強制執行をすることができます。強制執行のための債務名義を用意するために通常訴訟や調停をしていると、それだけ時間がかかります。

 

高額の売掛金は、回収に時間がかかるとそれだけ自社の経営に悪影響を及ぼすことが考えられます。契約の段階で担保を設定できる場合は、抵当権などを設定し未払いの対策をすることも方法の1です。抵当権などの担保を設定する場合は、不動産の登記情報を取得して、先順位の抵当権者の有無なども確認しておくことが望ましいと言えます。

 

④  弁護士との顧問契約を結ぶことによって対策する

弁護士には個別の債権回収を相談することもできます。顧問契約を結んで契約書のリーガルチェックや、債権回収を一任することもできます。

弁護士と顧問契約を結ぶことにより、債権の未払いが発生した時にケースに合った回収方法を迅速に講じることが可能です。弁護士と顧問契約を結ぶことも、債権の回収率を高めるためには有効な方法です。

まとめ

強制執行は債権の回収方法の中でも強力な方法です。しかし、どんなケースでも即座に強制執行ができるわけではなく、債務名義の取得といったルールが設けられています。また、債務者が極端に困窮しないために、財産の中には差押えが禁止されている財産や債権が存在しています。

 

強制執行をする場合は財産をひとまとめに債権の回収対象になる財産であると考えず、差押え禁止債権や差押え禁止財産に該当する額を引いて債権の回収率を考えることが重要です。強制執行をしても空振りで終わったり、費用倒れになったりしては、せっかくの準備が水の泡になります。財産の中には差押えが禁止されている財産もあることを知って、弁護士と相談の上で債権の回収計画を立てることをお勧めします。

まずはお気軽に無料相談・お問合せをご利用ください!

お電話でのお問合せはこちら

045-211-4008

お問合せ・ご相談は、お電話またはフォームにて受け付けております。メールでのお問合せは24時間受け付けておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。

受付時間:9:00~17:00
定休日:土曜・日曜・祝日

お問合せはこちら

お問合せはお気軽に

045-211-4008

お気軽にお問合せ・ご相談ください。