債権の回収トラブルに発展させないための予防とは?争いを未然に防ぐための7つの方法

はじめに

多くの事業主や個人は、売掛金などの債権が発生する時に「スムーズに回収できるだろうか」という不安を覚えるはずです。

債権の回収問題がこじれると、最終的に裁判や強制執行などの手段を講じることになります。スムーズに債権の回収ができた時より、ずっと時間も労力も必要になります。中には債権の回収ができなかったために、経営に頭を悩ませる事業主や、精神的に摩耗する事業主もいます。

売掛金などの債権が発生する時(契約を結ぶ時)は、債権の回収まで考えておくことが重要です。契約の時点で予防策を講じておくことで、債権の回収トラブルを防げる可能性があるからです。

債権の回収も、風邪と同じです。風邪をひいた時は、すぐ病院で処置を受けることが重要です。風邪をあらかじめ予防することも、非常に重要なことです。虫歯にも同じことがいえるはずです。多くの病院や歯科医院が、病気や不調を未然に防ぐ予防医学や予防歯科に力を入れています。

債権の回収トラブルは法的な面での不調です。法律事務所を病院や歯科医院のように捉えると、「予防」という言葉がしっくりくるはずです。あらかじめ法的な予防策を講じ、債権の回収をスムーズに行うと共に債権の回収トラブルを未然に防ぎましょう。

債権の回収トラブルを防ぐためのポイントを、予防法学の側面からお話します。

 

債権の回収トラブルを防ぐための7つのポイントとは

 

病院や歯科医院は、予防医学や予防歯科で「体のトラブルを未然に防ぐこと」に力を入れています。不調になる以前に、不調自体を防止する。これも1つの優秀な処置方法だからです。

 

債権の回収トラブルにも同じことが言えます。

 

債権の回収トラブル(法的な不調)を未然に防ぐため、予防法学的な観点を取り入れる。契約段階でトラブルを防ぐことに力を入れる。これは、とても重要なことです。

 

債権の回収トラブルに発展させない。未然に防ぐ。未然に防ぐことができれば、お金や時間を費やすことも防ぐことができる。そもそも、債権の回収トラブルが起きなければ、未収金などが問題になることがない。法的な意味での風邪をひく前に予防する。トラブルを解決しやすい足場を早期に作っておく。債権の回収においても、医療と同じ「予防」が効果的なのです。

 

債権の回収をトラブルなくスムーズに進めるためには、7つのポイントに気をつけることが重要です。

 

1、契約書のリーガルチェックを徹底する

2、相手方から受け取る契約書もチェックする

3、契約書以外の書類もきちんと保存する

4、新規取引先に対しては信用調査を活用する

5、必要に応じて担保権の設定などを行う

6、債権の回収に使える書式やマニュアルの整備をする

7、債権回収のトラブルの兆候が見えたらすぐに相談する

 

契約書のリーガルチェックを徹底する

 

契約を結ぶ際は、契約書をきちんと作成することが重要です。

 

法的には、口約束も約束のうちに入ります。債務者が知り合いだったり、債権額が少額であったりする場合は、口約束だけで終わらせ、契約書を作成しないことがあります。これは、自分から債権の回収トラブルの種を撒いているようなものです。

 

契約書の作成は、基本中の基本です。口約束だけでは、言い逃れされるリスクが考えられます。債権の存在自体を否定され、トラブルがより深刻化する可能性も考えられます。

 

契約書は債権において強い証拠となる書類です。トラブルを未然に防ぐというメリットを頭に入れて、しっかりと作成しておきましょう。また、契約書の作成時は、契約書の文言や内容によるトラブルも防ぐことが重要です。契約書はしっかりと弁護士や司法書士のリーガルチェックを受けておきましょう。

 

トラブルを防ぐために契約書を作った。それなのに、契約書の文言や内容が落とし穴になってしまい、まったく別の法律トラブルが発生した。これでは予防の意味がありません。

 

契約書に使った文言1つでトラブル発生のリスクが格段に跳ね上がることもあります。債権の回収トラブルを防ぐためには、文言1つまで細かくリーガルチェックを行うことが重要になります。

 

・インターネット上の契約書テンプレートを使うことの危険性

 

インターネット上には、各種の契約書のテンプレートが無料で公開されているサイトがあります。無料の契約書テンプレートには、ダウンロードして必要事項を記入すれば、すぐに使うことのできる体裁で提供されているものがたくさんあります。

 

無料の契約書テンプレートは、とても便利な存在です。しかし、便利だからといって、何でも無料テンプレートに頼ってしまうことは、非常にリスクの高いことです。なぜなら、その無料契約書テンプレートは「あなたの債権のために作られた契約書のテンプレートではない」からです。

 

債権の契約内容は、1契約ごとに異なります。債権では、債権者と債務者も違いますし、返済日や期限、債権額なども異なります。債権の契約自体が「1つずつ異なるもの」であるからこそ、まったく同じテンプレートで対処することは、リスクの高いことなのです。

 

ネット上の無料契約書テンプレートを用いたことによって、「必要な条項が抜けていたために債権の回収トラブルに発展した」「文言が契約内容に合致していなかったため、債権者と債務者の間で争いに発展した」「気軽に使った契約書のテンプレートが、法律に則ったものではなかった」「トラブルを防止するための契約書なのに、無料の契約書テンプレートを使ってしまったためにかえってトラブルの火種になってしまった」といった事例があります。契約内容に合致していない契約書や条項が抜けている契約書はトラブルのリスクを高めます。

 

ネット上の無料テンプレートは参考程度に留め、契約内容や債権の性質に合わせてオーダーメイド式に作成しましょう。

 

相手方から受け取る契約書もチェックする

 

自分で債権の契約書を作成する時だけでなく、契約の相手方が作成する場合も入念にチェックが必要です。相手方から送られてきた契約書に、後のトラブルの火種になりそうな文言は使われていないか、条項が抜けていないか、リーガルチェックを徹底しましょう。

 

債権の話し合いがまとまった後に相手方から契約書を渡されると、話し合いで決まった内容が盛り込まれているものだと考えてしまいがちです。そして、契約書の中身をよく読まず、記名捺印してしまいがちです。

 

相手方から渡された債権の契約書にきちんと話し合いで取り決めた内容が盛り込まれているか、冷静かつ厳しくチェックしましょう。話し合いの内容と異なる数字や条項が盛り込まれていないかどうかや、内容自体がきちんと法律に則っているかどうかもチェックポイントです。

 

債権の契約書は、自分が作成した場合にリーガルチェックを受ける。契約の相手方から契約書を受け取った場合もリーガルチェックを受ける。債権の回収トラブルを防ぐために、気をつけたいポイントです。契約書を受け取った直後に記名捺印を急かされたケースや、契約書の中に気になる文言を見つけたケースでは、話を持ち帰って弁護士や司法書士に相談するといいでしょう。トラブルの予防になります。

 

契約書以外の書類もきちんと保存する

 

債権の契約では、契約書以外の書類も重要になります。たとえば、債務者と債権者が交わしたメールや、発注書、納品書など、債権に関わる書面や記録は色々あります。債権の契約に関係のある書面や記録は大切に保存しておきましょう。

 

大きな債権額の契約ほど、事前に契約内容の打ち合わせが行われる傾向にあります。契約トラブルになった時の損害が大きいからです。

 

債権額が小さい場合は簡単に契約書面を取り交わして契約するといったケースもあります。対して債権額が大きいケースでは、当事者同士が契約書を整える前段階として顔合わせし、契約内容の確認などを行います。そして、話し合いがまとまった段階で契約書を取り交わすことになります。

 

話し合いなどの機会を設けたということは、話し合いの場所や時間のやり取りが生じているということでもあります。メールでやり取りしたなら、メールも保存しておくようにしましょう。話し合いの席でのメモ書きなども、契約の証拠となり得る書類です。契約書と一緒に保存しておくようにしましょう。

 

新規取引先に対しては信用調査を活用する

 

事業を拡大するということは、新しい取引先との債権契約が発生することとイコールです。新しい取引先は、支払能力や支払意思が未知数です。事業活動を行っているかどうかが不透明な新規取引先も出てくることでしょう。

 

新規取引先と契約を結ぶ際は、まず新規取引先の信用調査を行いましょう。「支払能力」「支払意思」「事業活動の実態があるかどうか」「資産状況」「資金繰り」などはチェックしておきましょう。

 

信用調査の結果、架空会社や詐欺会社であることが判明するケースもあります。事前に信用調査をすることによって債権の回収トラブルを防ぐと同時に、債権回収の空振りや将来的な損害も防ぐことができます。

 

必要に応じて担保権の設定などを行う

 

債権の回収トラブルを防ぐための方法の1つに担保権の設定があります。

 

担保権の設定とは、債務者名義の不動産に抵当権を設定したり、保証人や連帯保証人といった人的担保を設定したりすることです。機械や備品に譲渡担保を設定するという方法もあります。債務者本人から債務の弁済を受けることが難しい場合、担保を設定しておくことによって、物的担保や人的担保から回収をはかることができます。

 

担保権の設定は、将来の債権の回収トラブル防止にも役立ちます。担保権を設定することにより「返済しなければ不動産から債権を回収される」「連帯保証人に迷惑をかけてしまう」という心理的な圧迫感を債務者に与えることができます。

 

担保権を設定するためには、別途手続きが必要になる場合があります。不動産に抵当権を設定する場合に抵当権設定登記が必要になるのが代表例です。

 

担保権の設定が予防策となり得るか。担保権の設定をしたいがどうすればいいか。ケースごとに考える必要があります。弁護士や司法書士に相談し、適切な判断を下すことをお勧めします。

 

債権の回収に使える書式やマニュアルの整備をする

 

事業所で使うことのできる契約書や文書のテンプレートを用意しておくことは、債権の回収トラブルを防ぐという意味でとても重要なことです。

 

あらかじめリーガルチェックの済んだ文書や契約書を見本として用意しておくことで、1から見本を準備する必要がなくなります。1から準備する場合、まずは契約書や書類の参考例から探さなければいけません。過去の契約で作ったリーガルチェック済の契約書を見本として整えておくことで、契約書作成上のミスを防ぐことにも繋がります。ミスを防ぐことで、債務者との間に債権トラブルが発生することを防止することにもなります。

 

債権の回収トラブルが発生しそうな時にどのような対処をすべきか、事務所内でマニュアルを整えていくことも債権の回収トラブル防止に繋がります。適切なマニュアルに沿って対応することで、債権トラブルの兆候が本物の債権トラブルに発展することを防ぐことができる可能性があるのです。対応の判断が難しい場合は、担当がすぐに顧問弁護士などに相談できる環境も整えておきましょう。

 

きちんとしたマニュアルを備えていることや、すぐに弁護士に相談できる環境を整えておくことは、債権の回収トラブルを防止すると共に従業員の安心感にも繋がります。

 

債権回収のトラブルの兆候が見えたらすぐに相談する

 

風邪の兆候が見えたら、すぐに医師に診察してもらうことにより適切なアドバイスを受けることができます。医師という病気と体の専門家のアドバイスを生活に取り入れることによって、風邪を悪化させずにひきはじめの段階で治すこともできます。債権トラブルでも同じことが言えます。債権の回収トラブルを風邪、弁護士や司法書士を法律の医者として想像してみてください。

 

念入りに予防しても、体調管理の僅かなミスによって風邪をひいてしまうことがあります。債権の回収トラブルも同じです。契約書のリーガルチェックを徹底していても、話の食い違いや契約後の事情変更によって債権の回収トラブルが発生してしまうことがあります。

 

予防していても、風邪を100%防ぐことはできません。風邪はひきはじめが肝心と言います。債権回収トラブルの兆候が見えたら、迅速に弁護士や司法書士へ相談しましょう。兆候の段階でトラブルへと適切な対処することが肝心です。

 

最後に

 

債権の回収においては、トラブルが発生したら早め早めに対処することが重要です。早めに弁護士事務所へと相談して適切な回収手段を講じることが、債権の回収率をアップすることに繋がります。また、すでにトラブルへと発展していても、早めの対処によって、訴訟や調停などに至らず解決することがあります。

 

債務者が頑として返済に応じなかったケースにおいて、弁護士に早めに相談して督促を行うことによって回収に繋がったケースがあります。早めに弁護士が間に入って任意交渉を行った結果、訴訟に至らず債権の回収ができたケースもあります。早めの相談は債権の回収トラブルを深刻化させないための鍵になります。

 

債権の発生トラブル時の早めの対処と同じくらい、トラブルを発生させないための予防も重要です。債権の回収トラブルを防ぐために特に気にしておきたいポイントは7つです。

 

債権の回収トラブルが起きたら早急に解決手段を講じることも重要ですが、トラブル自体を未然に防ぐことも同じくらい重要です。信頼のできるパートナーを見つけて、常日頃から債権の回収トラブルの予防にも力を入れておきましょう。

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