取引先との関係を悪化させずに債権回収する方法は?注意したい6つのポイント

■取引先との関係を悪化させずに債権回収するためのポイントとは

取引先から売掛金や報酬などの債権を回収できないと、経営状況に大きな影響を与えます。しかし、取引先と継続的な仕事の受注関係にある場合、取引先との関係悪化を懸念し、なかなか債権の回収に着手できないことがあります。

 

継続的な取引関係にある債務者から債権を回収するためには、関係が悪化しないように配慮しつつ債権の回収を進めることが必要です。今後も取引を継続したい場合はなおさらです。

 

取引先との関係を悪化させないように債権の回収を成功させるためにはどんなことに注意したらいいのでしょうか。関係を継続したい取引先から債権を回収する時のポイントについて、実務に携わる弁護士の視点から解説します。

 

債権の回収において「債務者と揉めたくない」「債務者と債権の回収後もお付き合いをしたい」というニーズは決して少なくありません。特に個人事業主や中小企業の経営者が債権者の場合、今後も債務者と取引をしたいというニーズは強いものになります。

 

中には取引を継続したいがために債権回収に着手できないことを見抜き、ずるずると支払いを伸ばす悪質な債務者もいます。債権者が強硬な手段に出ることはできないだろうと甘く見ているからです。

 

取引をしたら払ってもらう。契約内容を履行してもらう。これは当然のことではないでしょうか。継続して取引をしたいからこそ未回収を許してしまう結果になり、経営が打撃を受けることもあります。これは悪手です。これからも取引を継続するからこそ、金銭的な問題は有耶無耶にせず、クリアな関係を構築する必要があるのではないでしょうか。

 

債権の回収問題を有耶無耶にしない。なおかつ、取引先との関係に亀裂を生じさせない。関係を継続したい取引先からの債権回収は、この2つの点を両立させる必要があります。そのためには、債権の回収において6つのポイントに気をつけることが重要になります。

 

1、取引先との関係が悪化しやすいケースを知っておく

2、契約書の作成や支払いの日時などの基本をしっかりと

3、債務者側の状況確認をしっかりと行ってから債権回収を

4、いきなり強固な債権回収手段を選択しない

5、弁護士名や事務所名での連絡を。弁護士を賢く活用する

6、定期的な納品などの契約の場合は支払いの記録をつける

 

■取引先との関係が悪化しやすいケースを知っておく

 

関係を継続したい取引先から債権を回収する場合、多くの債権者が気にするのは関係を悪化させないかどうかという点です。だからこそ知っておきたいのは、債務者と債権者の関係が悪化しがちなケースを把握しておき、そのケースをなぞるような行動を避けることが重要になります。

 

債権回収の実務において債務者と債権者の関係が悪化しやすいケースとは、次のような3つのケースです。この3つのケースをなぞってしまうと、関係が悪化してしまう可能性が一気に高くなります。債権の回収においては、この3つのケースは回避するように注意しましょう。

 

債権の回収であるが、対人関係でもある。

以上の点を念頭に置く必要があります。

 

  • 余裕を持った確認を行わなかった

 

稀にあるケースです。確認ミスによって関係が壊れてしまうことがあります。

 

たとえば、債務者側はきちんと支払い手続きをしていたのに、土日祝日を挟んでしまったがために入金の反映が遅れてしまったというケースがあります。

 

売掛金が高額だと特に支払い日に口座に入金されていないと不安になることでしょう。ただ、手続きと反映にはタイムラグが生じることが少なくありません。即日入金がなかったからとすぐに電話やメールで督促をしてしまうと、しっかりと手続きをした債務者はあまり良い気はしないはずです。関係悪化の原因になります。

 

また、こんなケースもあります。

 

約束の日に入金がなかったため、即座に電話で督促をしました。すると、約束の日に取引先の社長が倒れていたのです。債権者の不安な気持ちも分かります。しかし、債務者側も命に関わるような突発的な事態ですから、支払いをしている余裕がなかったはずです。タイミングが悪かったとしか言いようがありません。

 

大変なタイミングで督促が届くと、債務者は複雑な気持ちになることでしょう。時間を置いて確認していれば、督促する前に一報あったかもしれません。

 

確認は重要です。今後も取引を継続したい場合はただ確認するだけでなく、債務者から何らかの連絡があるかもしれないという予想のもと、少なくとも数日は連絡と入金を待ってみましょう。せっかちな対応をしてしまうと関係悪化の原因になりがちです。

 

  • 電話口や事務所で言い合いをしてしまった

 

取引先との関係に亀裂が生じてしまう原因の最たるものが「言い合い(喧嘩)」です。支払いがなくて気が立っている状態で債務者と電話口で話したり、事務所に足を運んだりすると、予期せず言い合いになってしまうことがあります。

 

督促を電話で行う場合や、債権回収のために債務者に事務所や工場に足を運ぶ場合は、気持ちがクールダウンしている時にしましょう。言い合いになってしまうと債務者が自発的に弁済してくれる可能性が低くなるため、より債権回収が困難になります。また、取引関係を切られてしまうリスクもあります。

 

  • 第三者がいる所で返済の話をしてしまった

 

債務者の事務所や工場に第三者がいる時に督促を行うことは避けましょう。

 

たとえば、第三者(債務者の別の取引先の担当など)がいる時におもむろに支払いの話をしたとします。第三者の前で返済の話をすることによって、第三者の前で話す必要があったのかと債務者を怒らせて取引関係を切られてしまう可能性があります。

 

債権額から取引規模を察することができるため、情報漏洩の観点からもリスクがあると考えられます。さらに、返済が遅れているというあまり知られたくないことを知られてしまうわけですから、債務者の面子を潰してしまったり、信頼を低下させてしまったりするリスクもあります。面子を潰したり、第三者の前で取引情報を漏らしたりする債権者と取引を継続したいと思うでしょうか。

 

今後も取引を継続したい場合は、債務者の面子や信頼にも注意を払う必要があります。情報漏洩のリスクにも細心の注意を払うべきです。

 

■契約書の作成や支払いの日時などの基本をしっかりと

 

取引関係が長い場合、債権者と債務者の間で口約束だけで取引をしてしまい、契約書が作成されないことがあります。電話一本で発注と受注を行ってしまうのです。

 

長い付き合いがあるという安心と信頼から、支払いの日時を決めないこともあります。納品後の都合の良い時に事務所に代金を持って行くといったケースも少なくありません。契約の段階で契約内容に漏れがあるのです。これでは、債権の回収が難しくなってしまいます。

 

口約束というほぼ証拠のない状態で督促をしても、債務者に言い逃れされてしまうだけです。さらに、言い逃れされたからといってさらに強固な態度で臨むと、関係悪化の原因になります。

 

契約書はしっかりと作成しましょう。また、契約書には「返済日」「口座振込か持参か」などの基本的な事項はしっかりと記載しておきましょう。メールなどの証拠になりそうなデータも保存しておくことが重要です。

 

契約書やメールは債権回収の際に証拠として活用できると同時に、「言った」「言わない」という言い合いを回避することができる大切な存在です。取引先との関係悪化を防ぐためにも重要なことです。

 

■債務者側の状況確認をしっかりと行ってから債権回収を

 

前述したように、債務者が倒れたなどの危急の事態があった場合は支払いどころではありません。また、手続き自体は終えているのに入金が反映されていなかったなどのケースも考えられます。

 

他にも、債務者が支払いを忘れていただけだった等のケースも考えられます。債務者側が返済に充てるはずだった他取引先の返済が滞っている可能性もあります。一言に「未払い」といっても、色々なケースが予想されます。

 

いきなり債権回収方法を講じるのではなく、状況確認からスタートすることが重要です。督促より先に電話などで状況を確認し、それから状況に合った対策を講じた方がより債務者とトラブルになり難いと考えられます。

 

確認というワンセンテンスを設けることにより、債務者の返済への態度も把握することができます。確認によって債務者が任意に返済してくれる可能性が高いと判断できれば、わざわざ費用を捻出して債権回収の諸手続きに着手する必要もなくなります。

 

督促の前に、まずは状況確認を行う。債務者の話をしっかりと聞く。取引関係を悪化させないために、心得ておきたいことです。

 

■いきなり強固な債権回収手段を選択しない

 

任意の返済が望めない場合は、債権者側が返済を促したり回収手段を講じたりする必要があります。その際は、いきなり訴訟などの法的手段を講じるのではなく、債務者が任意で返済に応じやすい手段からスタートすることがポイントになります。

 

たとえば、債務者への状況確認を行ったところ、債務者はあまり真面目に返済をする気がないように感じられたとします。この場合もいきなり訴訟をするのではなく、まずは電話やメールで督促を行います。債務者が応じてくれなければ、少しずつ強い方法へと切り替えていきます。債務者の翻意により丸く収まれば、あえて法廷で争う必要はありません。

 

債権回収の方法の中でも、訴訟や強制執行は督促などよりも強い方法です。だからこそ、使いどころを見極める必要があります。強い方法だからこそ、使いどころを間違えてしまうと、債務者との関係を破壊してしまいます。

 

■弁護士名や事務所名での連絡を。弁護士を賢く活用する

 

弁護士を賢く利用する方法もお勧めです。弁護士は訴訟以外の法的なトラブルに広く対処しています。訴訟をしない場合でも弁護士に相談したり、書面の送付などを依頼したりすることが可能です。

 

取引先との関係を悪化させずに債権の回収を行う場合、弁護士に対応を依頼することが効果的です。弁護士に依頼すると、債務者へ送付する書面には弁護士名や弁護士事務所名が入ります。債務者へ電話で督促する場合も、弁護士名や事務所名を告げます。債務者は弁護士が介入したと知ることになりますので、翻意により任意で返済してくれる可能性が高くなります。

 

弁護士が介入することによって相手方との関係に亀裂が生じるのではないかと不安になるかもしれません。債権回収の実務経験が豊富な弁護士の場合は、債務者との関係を悪化させたくないというニーズを心得た上で督促などの対応を行います。取引先との関係を悪化させたくないというニーズは非常に高いからです。

 

債権の回収方法は使いどころが重要だという話をしました。弁護士も使いどころが重要です。早い段階で債権回収の実務経験が多い弁護士に相談する。そして、債権に関する情報を共有する。その上で、ここぞというポイントで弁護士が出るようにすれば、債権の回収と関係悪化の防止を両立することができます。

 

■定期的な納品などの契約の場合は支払いの記録をつける

 

取引関係が長い期間に渡って続いていると、支払い受けたか忘れていることがあります。5月分は受け取ったが、6月分は受け取ったかどうか分からない。こんな事態もあり得ることです。また、支払いが何時の分なのか、分からなくなっていることも少なくありません。

 

債務者に督促するとしても、その支払いが何時の分なのか分からないと、債務者の心象を害してしまう可能性があります。6月分として督促したのに、6月分は払っている。領収書も債務者の手元にある。支払いが抜けていたのは5月分であった。これでは、行き違いから取引関係に傷がついてしまうかもしれません。

 

契約書やメールをしっかり保存することも大切ですが、領収書の写しなどを管理して支払関係を整理しておくことも重要です。取引関係が長いケースでは、債権者と債務者が記録の付け忘れで勘違いしがちです。支払の記録をしっかりつけて、未回収分は何時の分なのか明確にしておきましょう。

 

支払いが一月分だけ抜けているのか。あるいは、ある月から支払いがないのか。状況によって対処法も変わってきます。対処法を選択する上での重要なことですので、帳簿の他にも受領の記録は付けておいた方が安心です。

 

間違って督促をしなくて済む。行き違いを生まないという点でも重要なことです。

 

■最後に

 

債権の回収において、取引相手との関係を悪化させずに回収したいというニーズは高いものです。関係悪化を心配して、債権回収への第一歩を踏み出すことができずにいるケースもあります。

 

今後も取引を継続したい、良い関係でいたいと考えるなら、どこかの時点で債権問題をクリアにしておく方が得策です。後回しにするほど債権の回収率が下がりますし、債務者側にとっては「なぜ今頃になってその話を持ち出すのか」と心象が悪くなるからです。トラブルの火種は早めに解消しておいた方が安心です。

 

債権回収の実務経験が多い弁護士は、取引先との関係を悪化させたくないというニーズをよく理解しています。取引関係に配慮して債権の回収を進めることも可能です。早めに弁護士へと相談し、よりクリアな取引関係を構築しましょう。

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